環境的わけあり物件とは

物件周辺の環境的な要因によるわけあり物件になります。定義は広範囲にわたります。ここでは主な事例を取り上げたいと思います。

●災害

被災者生活再建支援法 第二条では自然災害の定義を「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる被害をいう。」と定義づけしています。

日本国は周囲を自然に囲まれた恵まれた国土を有する反面、自然の災害にも多く直面しています洪水、河川氾濫、斜面崩落、土石流、地すべり、雪崩、豪雪、台風、竜巻、高潮、落雷、地震、津波、液状化、噴火、降灰、火砕流、火山ガス、噴石など、様々な自然災害に見舞われるリスクを有しています。

土地・建物が自然災害の被害を受けている場合、買主や借主に告知する義務が生じます。

●嫌悪施設

その施設の必要性は認めているものの、自らの居住地域内及び近隣には建築してほしくない施設のことをいいます(一部、違法に存在する施設や法令的に違反している施設なども含む)。

斎場、墓地、ゴミ焼却場、産廃処理場、火薬貯蔵所、ガスタンク、集中プロパンガス保管所、下水処理場、臭気・騒音・振動などの工場、鉄塔、高圧線、風俗店やラブホテル、刑務所、原子力関連施設、軍事関連施設、宗教関連施設、反社会的勢力の事務所などがあげられます。

このような施設等や嫌悪施設までの距離は個人の感覚により差異があることが多いので近隣に存在するからといえ、一概にワケあり物件とは言い難い部分はあります。

●近隣トラブル

近隣トラブルの原因は様々なことから発生します。お互い様の精神で良好な近隣関係が保てればよいのですが、色々なタイプの方と社会のコミュニティの一員として形成していくには、上手くいかないケースももちろん存在します。また、一度起きてしまったトラブルを修復するには一筋縄ではいかないことがあります。

一方的な極論を相手に押し付けてくる方もいらっしゃるので、一度、トラブルが起きると長期的に修復されないことがあり、また次の居住者の方との間にもトラブルをそのまま継承されてしまうこともあれば、次の居住者の方になった途端、トラブルが解消されるケースもあります。

●土壌汚染

人間の生活上必要な食物や地下水を供給する経路になっている土壌が有害物質により汚染されていることを指します。高度経済成長期に金属鉱業関連の工場より排出された重金属により川や農用地等が有害物質により汚染されたことによる被害が相次いだため、法令の整備がはじまりました。近年、工場跡地で土壌汚染が頻発し、2003年土壌汚染対策法が施行されました。近隣に工場が多くみられる地域は過去の土地の履歴を調査したり、工場跡地の物件については注意を必要とします。

●交通不便

公共交通不便地域のことをいいます。駅から徒歩で歩くことが困難な距離で公共のバスも路線の縮小や廃止などで、利用がかなり制限されている地域に存在する物件。

自家用車社会の発展と過疎化に伴い、公共交通としての役割を担うバスが存続の危機に直面している地域が多数あります。路線の縮小や廃止だけではなく、存続している路線であっても大幅な営業時間の短縮を余儀なくされています。

このような地域の物件は交通弱者や通勤を交通公共機関利用される方にとっては致命的で、物件の需要と供給のバランスに大きく影響をもたらします。

●限定用途

1.法令上の制限により、土地や建物の利用が制限されてしまう物件。

 たとえば工業専用地域の土地には住宅が建築できないので需要を制限されてしまう。等々

2.所在エリアの特性物件

 たとえばリゾートマンションや別荘。所在エリアの特性により、需要数が少ない。また、利用頻度の割に管理・修繕費がかさむため維持できる需要層も限定されてしまう。

●騒音

以下の種類の音が騒音としてトラブルを引き起こすことがあります。振動を伴う事象も多く存在します。

1.工場・事業所における機械音等

2.建設現場

3.空港や基地周辺などの飛行機の騒音

4.幹線道路の車の音

5.ピアノ、ステレオ、テレビなどの音響機器からの音

6.ペットの鳴き声

●振動

以下の種類の振動がトラブルを引き起こすことがあります。騒音を伴う事象も多く存在します。

1.工場・事業所における機械振動等

2.建設現場、土木作業現場

3.空港や基地周辺などの飛行機の騒音による振動

4.幹線道路および鉄道の音

●悪臭

以下の種類の臭気が悪臭としてトラブルを引き起こすことがあります。

1.工場からの煤煙や、換気による排出空気

2.産業廃棄物の野焼きなどの野外焼却

3.外食産業の調理臭は連続・高濃度・大量に排出されるため

4.養鶏・養豚・酪農などの糞尿臭や体臭

5.自動車などの燃焼排気ガス

6.生ゴミ等の一般廃棄物の集積場

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