相続で受け継いだ長期空き家、どうする?売却相談のポイントと注意点
近年、日本全国で増加している「空き家問題」。特に相続によって取得したものの、住む予定もなく放置されている長期空き家は、所有者にとって悩みの種となりがちです。固定資産税の負担、老朽化による近隣への影響、さらには管理の手間など、放置することで生じるリスクは少なくありません。
今回は、相続によって取得した長期空き家の売却を検討する際のポイントや注意点について、実例を交えながら解説します。
なぜ空き家のまま放置されるのか?
相続された空き家が長期間放置される背景には、以下のような理由があります:
- 相続人が遠方に住んでおり、管理が困難
- 建物が老朽化しており、住むにはリフォームが必要
- 思い出が詰まっていて手放しづらい
- 相続人同士で意見がまとまらない
- 売却や活用方法が分からない
こうした事情が重なり、結果として「とりあえず放置」という選択になってしまうケースが多いのです。
放置によるリスクとは?
空き家を放置することで、以下のようなリスクが発生します:
- 建物の劣化による倒壊や火災の危険
- 不法侵入や不審火などの治安リスク
- 雑草や害虫の発生による近隣トラブル
- 固定資産税の負担が続く
- 「特定空き家」に指定されると税負担が増加
特定空き家に指定されると、自治体から改善命令が出され、従わない場合は行政代執行の対象になることも。さらに、固定資産税の軽減措置が解除され、税額が最大6倍になる可能性もあります。
売却前に確認すべきこと
空き家の売却を検討する際には、以下の点を確認しましょう:
1. 相続登記の有無
まずは、相続登記が完了しているかを確認。登記が済んでいないと、売却手続きが進められません。2024年からは相続登記が義務化されており、放置すると過料の対象になる可能性もあります。
2. 建物の状態
築年数や構造、劣化の程度を調査。場合によっては「古家付き土地」として売却するか、更地にして売るかの判断が必要です。
3. 境界の確認
土地の境界が不明確な場合、トラブルの原因になります。売却前に測量を行い、隣地との境界を明確にしておくことが望ましいです。
4. 相続人間の合意
複数人で相続している場合は、売却に関する合意形成が不可欠。遺産分割協議書の作成や、共有者全員の同意が必要です。
売却以外の選択肢も
売却が難しい場合、以下のような活用方法も検討できます:
- 賃貸物件として貸し出す
- リフォームして自分で使う
- 地域のコミュニティスペースとして提供
- 解体して更地にし、駐車場などに転用
自治体によっては、空き家の活用に対する補助金制度もあるため、情報収集は欠かせません。
空き家は「放置」より「行動」がカギ
相続によって取得した空き家は、感情的にも手続き的にも複雑な問題を含みます。しかし、放置することで生じるリスクは年々高まっており、早めの対応が求められます。
まずは現状を把握し、専門家に相談することから始めましょう。売却するにせよ、活用するにせよ、「動くこと」が空き家問題の第一歩です。


